第33回地方自治研究全国集会参加報告

参加者:小倉・生方

  

 自治研全国集会が11月5日(金)〜7日(日)愛知県名古屋市の名古屋国際会議場で開催され、本会からは小倉・生方の2名が出席しました。「創ろう、市民自治のゆたかな社会」をメインスローガンに開催された本集会では、「なぜ、労働組合が自治研活動に取り組むのか?」等、自治研活動の原点を確認するとともに、多くの自治研屋の卵を生み出すことを目的に開催されました。
 地方分権の推進によって、住民を中心にした地域の意思決定がこれまで以上に重要になってきます。自治を高める観点から、自治体・公共サービス労働者がどのように地域住民と意思疎通をはかり、どのような政策形成を進めていくかが問われている中、全国から集まった参加者による活発な議論が行われました。

 OA化や人員削減の影響から、職場内での話し合いや議論が行われにくくなっている昨今の公務職場にあって、より良い地方自治を推進するための自治研活動は停滞の一途を辿っています。こうした状況の中、職員の専門性と協働性を 発揮できる新たな人事制度が切望されるものと思われます。即ち、公務職場を従来の”平均集団”から”専門集団”へと転換する必要があるのではないかと強く考えさせられた集会となりました。
全体集会

 5日(金)13時から開催された全体集会では、初の試みとして「参加者による会場デイスカッション」が行われました。参加者の席は予め指定されており、隣座する見知らぬ参加者と5人一組となり、パネラーやコーデイネーターの発言に対して、議論するというもの。
 地方自治総合研究所所長 辻山さんがコーデイネーターで始まったパネルデイスカッションでは、「あなたが主役などというのは当たり前。私の娘は大企業に勤めたが1年ちょっとで辞めて、アルバイトで毎日深夜12時くらいまで仕事をしているが、今のアルバイトの方が以前よりやり甲斐があって楽しいと言っている。私はこうした働き甲斐のある厳しさが公務員にも必要だと思う」としたパネラーの寺尾氏の発言に、「労働組合としては容認できない」などとした反発の意見が寄せられ ました。この方の娘が30歳を過ぎても40歳を過ぎても、結婚もしなければ、その気配すらなく、以前「楽しい楽しい」と言いながら深夜12時までアルバイトを続けていたとしたならば、この方は自分の娘に何と声をかけるのだろうか。是非聞いてみたいところである。
 議論がどのように纏まるのかが注目されたところでありましたが、より良い地方自治を実現するためには、現在行われている2〜3年で異動する人事制度の限界が指摘されるとともに、職員の専門性を活かした新たな人事制度の必要性が確認されたものと思います。

寺尾美子
東京大学大学院法学政治研究科教授
三野 靖
香川大学法学部教授
伊藤藤夫
特定非営利活動法人丹南市民自治研究センター理事長
藤岡美子
特定非営利活動法人市民フォーラム21・NPOセンター事務局長

(パネラー紹介)

第13分科会
 本当に地球は温暖化しているのか?
会場からは疑問の声
 集会2日目は13のテーマ毎に分科会が開催されました。「第13分科会 温室効果ガス25%削減 地域での可能性を模索する」をテーマとした分科会に参加しました。冒頭、中部地方環境事務所職員による「低炭素社会に向けた現状と課題」の説明後の質疑では、「そもそも本当に地球は温暖化しているのか?」「ツバルの沈没は地盤沈下によるもので温暖化のせいではない」「IPCCの報告書は捏造されたものだ」「そもそも本当に二酸化炭素が温暖化の原因なのか?」など、労働組合らしい質問が続出しました。もしも「地球は温暖化していない」とした結論に至ってしまったとしたら、この分科会は即刻解散になるのだろうかと思いながらも、議論の行方が注目されましたが、環境エネルギー政策研究所長 飯田哲也さんは基調講演の中で、脆弱な日本のエネルギー政策を批判するとともに、温暖化問題の核心に触れた講演をすることで、一定の共通認識が得られたのではないかと感じます。
 レポート報告では、群馬県本部マイナス3.9%実行委員会が活動報告を行いました。しかし、与えられた発言時間が僅か5分間ということもあって、十分な理解が得られたとは言いがたいものと判断します。
 一方、全国から集まった喋りたがりの労組役員達は、議論とは全く関係のない発言を連発するなど、纏まりのない集会になったことは言うまでもありません。中でも、高知県本部中土佐町職員労組は温暖化ガス25%削減の25% だけに引っ掛けて「25%ということをずっと考えていた。そしてやっと”25%あるやん”ということに気付いた。実は私の町の汚水処理整備率は25%なんだ」などとして、超強引に自分のことを発言するなど、司会者泣かせの信じがたい光景も観られました。「流石」としか言いようがありません。